脳性麻痺の股関節脱臼

脳性麻痺の患者さんでは、筋緊張が強い状態や筋力のアンバランスな状態から股関節脱臼が起こります。これを麻痺性股関節脱臼と呼びます。生まれつき股関節が脱臼していることは稀で、成長に伴いジワジワと脱臼してくることが麻痺性股関節脱臼の特徴です。

かかりつけの先生から、痛くなったら手術しましょうと言われていますという言葉をよく聞きます。しかし、麻痺性股関節脱臼はジワジワと進行するので、完全に脱臼しても痛みが無いことが多いです。脱臼した状態が長く続き、大腿骨頭の軟骨が破壊されたり、変形が進んでくると、痛みが起こります。痛みが起こってから治療をしても治らない場合があります。だから、予防、検診、早期治療が大切になります。

一番大切な予防方法は、リハビリです。定期的にリハビリを行うことで、筋緊張が和らぎ、バランスの良い運動が可能となります。リハビリで教わりながら、自宅でストレッチなどの訓練を行うことも股関節脱臼の予防になります。リハビリをしていても良い姿勢を取れない場合には、股関節外転装具が有効な場合があります。

股関節脱臼は触れただけではわからない場合が多いです。定期的な診察とレントゲンで早期発見することが大切です。当院では、2歳頃から年に1〜2回の小児整形外科検診を勧めています。検診を行うことで、完全に脱臼する前に股関節の病気を発見でき、早期治療につなげることができます。

リハビリや装具治療、筋緊張に対するボトックス治療を行っても麻痺性股関節脱臼が進行する場合、手術が必要になります。手術方法は、年齢や脱臼の程度によって変わります。大きく分けると、筋肉のバランスを改善する筋解離術、骨格の変形を治す骨盤/大腿骨骨切り術に分かれます。すべての手術方法の経験が豊富な施設で治療を受けることが望ましいです。