ITB療法

ITB療法は、Intra-Thecal Bacrofen therapyの略で、日本語では髄腔内バクロフェン投与療法と呼ばれます。手術で、バクロフェンという薬を脊髄に流すカテーテルとポンプを挿入します。3か月に1回程度、注射でポンプに薬を補充する必要がありますが、薬を流す量の調整は体の外からテレビのリモコンのような器械で行う事ができます。

バクロフェンは、脊髄に作用して、筋緊張を和らげてくれる作用があります。バクロフェンの内服薬もありますが、このお薬は脊髄に到達しにくいことが分かっており、ITB療法に比べて内服薬は効果が少ないです。ITB療法では、少ない量のバクロフェンで筋緊張を和らげることができます。

私が森之宮病院/ボバース記念病院に来て以降、すでに6名の患者さんにITB手術を行いました。小児整形外科の強みとして、ポンプを入れる手術と同時に筋解離など関節の硬さや股関節の問題に対する治療も行うことが可能です。当院で治療した患者さんは経過良好で、びっくりするくらい良くなる方も多いです。筋緊張でお困りの患者さんは是非ご相談ください。

 

ITB療法の流れ

 1. 手術をする前に治療が可能かどうかを検討します。

可能な患者さん: 脳性麻痺、脊髄損傷などの疾患による痙縮

不可能な患者さん: 体が小さくてポンプが入らない方、ワーファリンなど血液が固まりにくくなる薬を飲んでいる方、脊髄に異常がある方など。

 2. トライアルを行います。

1泊2日〜2泊3日の入院で、試しにバクロフェンを脊髄に注射します。1回注射するだけなので、半日〜1日で効果は切れます。その間に、ITB療法の効果が期待できるかどうかを検討します。

 3. ポンプの埋め込み手術を行います。

手術の数日前に入院し、全身麻酔で手術を行います。お腹にポンプを入れるので、9cm程度の傷ができます。腰にもカテーテルを入れるための3~5cm程度の傷ができます。翌日から少しずつ体を起こしていきますが、車イスや歩行などの元の生活に戻るには1~2週間かかります。傷は、2週間程度で治ります。入院中に、バクロフェンの投与量を調整する必要があります。1日に調整できる量が限られていますので、調整には1週間〜4週間かかります。もちろん投与量の調整は外来でもできますが、その都度受診してもらわなければならないので、入院中におおよその調整をしておく必要があります。傷が治って、投与量がある程度決まれば退院です。

 4. 通院で薬の補充や投与量の調整を行います。

退院後は、3か月〜5か月に1度程度、薬の補充が必要です。入院は必要なく、外来で処置を行います。1回の補充に15~30分かかります。投与量の調整も外来で可能です。調整だけなら5分程度で終わります。

 ITB療法中の注意事項

• バクロフェンが急に切れると、離脱症状(痙縮の悪化、かゆみ、血圧低下、感覚異常など)が起こる場合があります。薬が切れる前にポンプからアラームが鳴りますが、定期的な薬の補充を忘れないで下さい。

• ポンプの電池の寿命は、7年となっています。今のところ、7年に1度ポンプを入れ替える手術が必要です。ポンプの入れ替え手術も全身麻酔が必要で、入院期間は、2週間程度です。

• MRI検査を受ける際には、ポンプが一度停止します。通常は、自動的に再起動しますが、検査後に動作確認が必要です。当院でも対応は可能ですが、他の病院で検査した場合には、販売業者が対応してくれます。