ボバース記念病院におけるソルター骨盤骨切り術の成績

 2018年からボバース記念病院で働いていますが、前任の滋賀県立小児保健医療センターから継続診療している患者さんを中心にソルター骨盤骨切り術を行ってきました。全ての症例で経過は良好で、トラブルなく治療できています。14例15関節のデータをお示しします。5歳頃のレントゲンで手術を検討することが多いので、手術時年齢は平均5歳9ヶ月(4歳10ヶ月〜7歳8ヶ月)です。ソルター手術は10〜12歳まで可能ですが、5〜6歳の方が柔らかく骨が動くので、精密な手術が行いやすいです。せいぜい8歳までに手術を決断した方が安定した結果が得られやすいです。

 グラフは手術時間(単位:分)と手術室滞在時間(単位:分)です。平均すると手術に約1時間30分かかり、手術室には2時間30分程度居ることになります。全ての症例を私が執刀していますので、見返してみても安定しているなと思います。以前は時間を早く終わらせることを考えた時期もありましたが、最近は骨を精密に動かしたり、丁寧に縫合することに時間を使っているので、私なりのベストな手術ができています。手術時間が長くなっている症例は、7歳以上の症例や臼蓋形成不全が重度の症例が多いです。

 次に、出血量(単位:ml)についてです。骨盤を栄養する血管を丁寧に止血することで出血はほとんどありません。平均出血量は30mlでした。1例だけ150ml出血していますが、これは腸骨を栄養する血管が見えにくい裏側にあったため、止血に時間がかかったケースでした。血管の走行や骨の形態には個人差があるので、稀に出血が多くなる場合があります。このケースで言えば、300〜400ml出血した時点で輸血をするかどうか判断する体格でしたので、問題なく回復されました。当院では、同時に大腿骨骨切り術を施行するケースもありますが、全ての症例で輸血は必要ありません。