MPが60%以上の麻痺性股関節脱臼では、痙縮と関節拘縮、外反股、臼蓋形成不全の全てが存在していることがほとんどです。筋解離術で解決できるケースは少なく、大腿骨内反骨切り術や骨盤骨切り術を併用して、確実に治療する必要があります。私が関わった症例の治療成績は図の通りです。MPが60%以上の重度の亜脱臼や完全脱臼が対象のデータです。83%の症例が1回の手術で、骨成熟に至っています。一般的に、股関節脱臼は成人期に悪化することはほとんどないですから、1回の手術で治癒していると言えます。17%に再発を認め、5%に再々発を認めました。すべての手術において、股関節はきちんと整復されているので、麻痺自体が原因で成長に伴い、再発している割合であり、これが現代の医療の限界と考えます。さらに、細かく解析すると、10歳以上で手術した症例の再発は0で、再発した症例はすべて10歳未満でした。だからといって、年少で脱臼しているのに手術を受けずに放置すると大腿骨頭が破壊されてしまいますから、やはり手術は適切なタイミングで受ける必要があります。ここで言いたいことは、再発、再々発もあり得ますが、最後まで頑張ってくれれば、すべての患者さんの麻痺性股関節脱臼はきちんと治療できるということです。お困りの方はご相談ください。