開排位持続牽引整復法

開排位持続牽引整復法(FACT-R)とは、乳幼児の股関節脱臼に対する牽引療法のことです。

平均1か月の入院が必要ですが、外来での装具治療や全身麻酔で行う整復よりも安全な治療です。

FACT-Rは、大きくは5つの段階に分かれています。

第1段階:水平牽引。2週間以上、両足を下の方に牽引します。十分に柔らかくなったことをレントゲンで確認してから、次の段階に移行します。

第2段階:開排位牽引。1週間以上、股関節を開き、膝を曲げた状態で牽引します。脱臼が整復できる状態になったら、次の段階に移行します。

第3段階:開排位持続牽引。2~3日の間、24時間ずっと牽引します。これによって、整復された股関節が安定します。

第4段階:ギプス固定。ギプスは、麻酔をせず、起きたまま巻きますので、安全です。ギプスの期間は、4~6週間です。亜脱臼の場合は、ギプスを巻かずにリーメンビューゲル装具を使用します。

第5段階:装具療法。ギプスを外した後は、装具を2~3か月装着します。軽症の脱臼なら、リーメンビューゲル装具を使用し、重症の場合は、プラスティック製のしっかりした開排装具を使用します。装具を徐々に外して、脱臼を整復する治療が終わります。

治療終了後も、定期的な検診は必要です。また、5~7歳の頃に、臼蓋形成不全に対する手術(多くはソルター骨盤骨切り術)が必要になる場合があります。