麻痺性股関節脱臼の発生率

 脳性麻痺では、生まれた時から股関節が脱臼していることは少なく、多くの場合、成長とともに脱臼が起こります。検診制度が整備されている国から股関節脱臼の発生率が報告されています。

 グラフはオーストラリアのデータです。歩行能力にほとんど問題のないGMFCS Level Iでは、脱臼はほぼ起こりません。装具に頼りつつも歩けるレベルであるGMFCS Level IIでは、10%以上の発生率で股関節脱臼が起こります。歩けるから股関節脱臼が起こらないというわけではありません。GMFCS Level III〜Vは、実用的な歩行が困難なレベルですが、麻痺の重症度が上がるにつれ、脱臼の発生頻度は高くなります。GMFCS Level Vでは、90%近い発生率が報告されています。この報告では、MP(Migration Percentage)が30%以上を脱臼と判定していますので、必ずしも全例に手術が必要なわけではありませんが、歩行困難な患者さんでは、高い確率で股関節手術が必要となります。